2013 PRIX CULINAIRE <LE TAITTINGER> 47

第47回 <ル・テタンジェ>国際料理賞
コンクール・インターナショナル
(パリ)結果報告

47éme PRIX CULINAIRE INTERNATIONAL LE « TAITTINGER »

第47回 <ル・テタンジェ>国際料理賞コンクール・インターナショナル(パリ)

第47回<ル・テタンジェ>国際料理賞コンクール・インターナショナルが11月26日(火)にパリ商工会議所フェランディ校で行われ、同日夜レストラン ル・プレ・カトラン(Le Pre Catelan、パリ)で結果発表式が催されました。
審査委員長エマニュエル・ルノー氏(レストラン・フロコン・ド・セル、ムジェーヴ、ミシュラン3つ星)をはじめ過去このコンクールに入賞経験のある異なる国から選出された国際審査員14名(注1)は、第47回<ル・テタンジェ>国際料理賞コンクール・インターナショナルの結果を下記のように決定しました。
又、日本人として初めて優勝(1984年、第18回ピエール・テタンジェ国際料理賞コンクール)した堀田大氏が、審査委員として参加しました。
この度は、フランス代表としてHiroyoshi BABA 氏(シャトー・レ・クレイエール、ランス)も参加し昨年に続きコンクール史上2度目となる日本人2名が競う国際コンクールでした。
BABA氏は、惜しくも入賞を逃がしました。

ファイナリスト

6名
フランス2名、スイス、オランダ、ベルギー、日本

受賞者

優勝

ベルトラン・ミラール氏
(Bertrand MILLAR)

コルディアン・バージュ
(ポイヤック 2つ星、フランス)

ベルトラン・ミラール氏(Bertrand MILLAR
ベルトラン・ミラール氏(Bertrand MILLAR
ベルトラン・ミラール氏(Bertrand MILLAR
ベルトラン・ミラール氏(Bertrand MILLAR

2位

ブノワ・タニエール氏
(Benoit TANNIERES)

ル・ガストロ
(ローザンヌ、スイス)

ブノワ・タニエール氏(Benoit TANNIERES)
ブノワ・タニエール氏(Benoit TANNIERES)
ブノワ・タニエール氏(Benoit TANNIERES)

3位

鎌田 英基氏
(Hideki KAMATA)

帝国ホテル東京
(東京 1つ星、日本)

鎌田 英基氏(Hideki KAMATA)
鎌田 英基氏(Hideki KAMATA)
鎌田 英基氏(Hideki KAMATA)

第47回インターナショナル・ファイナル
テーマ

Une selle d’agneau
Deux garnitures : 1 garniture libre et 1 garniture à base d’abat(s) : Ris / Cervelle / Rognon
accompagné d’une sauce ou d’un jus dans une saucière -Pour 8 personnes

セル・ダニョー
2種のガルニチュール:自由と課題 内臓(リ、セルヴェル、ロニョン)をベースにしたもの
ソース又は、ジュをソーシエールに入れて添える-8人前

第47回インターナショナル・ファイナル

審査委員長による課題ルセット

Entrée chaude à base de légumes de saison dans l’esprit d’un mille feuilles
sur assiette- Pour 6 personnes
Trois légumes minimum doivent être utilisés
Plat sans pate, sans oeuf, uniquement des légumes
Taille assiette : 26/28 cm assiette plate
A votre disposition la liste des ingrédients disponibles en cuisine

温製アントレ:季節の野菜のミルフィーユ仕立て-6人前
少なくとも3 種類の野菜を使うこと
パート、卵不使用/皿のサイズ26-28cm
食材リストから選んで調理する

1人5時間でテーマ料理と課題ルセットを制作

*審査委員長エマニュエル・ルノー氏はスカンジナビアでのコンクール開催を決定しました。
2014年秋に<ル・テタンジェ・コンクール>スカンジナビアは、初のファイナリストをスウェーデンに於いて輩出します。

国際審査員

ミッシェル・コンビ、ステファニー・ル・ケルク、アマンディーヌ・シェニョー、ジェラール・ボワイエ、ベルナール・ルプランス、クリスチャン・ネ、クリストファー・クータンソー、ミッシェル・ロス、シルヴェン・モンベルジュ、ピエール・フォントネー、ジャン-ジャック・ムナント-、堀田大、ウルフ・ワグナー、フィリップ・ラベ

COMMENTAIRE DU JURY

コンクール・ジャポン審査委員長
堀田大氏

今回の国際ファイナルは6人で競われた。
(日本、ベルギー、オランダ、スイス各国代表1人、フランスから代表2名)

フランス代表2名のうち1名は日本人で、四谷の北島亭出身で渡仏8年半の馬場氏、現在ランスのレ・レクイエール(2ツ星)に勤務中。
ファイナリストに昨年同様、今年も日本人が2名出場、フランスで働く日本人料理人の実力が現地フランスの料理人と対等な力をつけてきたようで審査員の評価も非常に高いものがあり誇らしく思った。

<審査員長の課題ルセット>
季節の野菜をベースにしたEntrée chaudeミルフイユを意識して作ること。
パート、卵は使わずに野菜のみで、最低3種類の野菜を使う事。皿盛りで6人分。
課題料理は大差なく、みんな問題なくよくできていた。
昨年の優勝者は、Oeufs à la neige にルイユを詰めスープに浮かべていたが、今年の優勝者もミルフィユを切ると中からソースが流れ出てくるように作られていた。

<インターナショナル・ファイナルテーマ>
実技審査2週間前のテーマ発表は、
仔羊、2種のガル二(1つは自由、もう1つは内臓(Ris,Cervelle,Rognon)をベースに,ソースかジュを添えて。
40cm×60cmの平らな皿に8人分ソースはSaucièreで、課題ルセットと共に5時間で提出。

前夜、選ばれた封筒の中に書かれていたのは、Selle d’agneauだった。
別の封筒にはCarré d’agneauとGigotが主材料として書かれていた。

使い慣れている食材なので大変悩むだろうと心配したが、反面どのよう工夫した料理が出てくるか楽しみにしていた。しかし、似たような料理が多かった。
セル・ダニョーの出来は、補助する食材、量、風味ともにどの料理もよかったが、アバを使ったガル二と主品料理とのハーモニーに差がでた。
ガル二、ソースは、主品をより良くするものでなくてはいけない。
毎回、Cuisson, Harmonie gustative, Garnitureの評価が高い。

今年の配点は、200点満点で Présentation-20/200, Cuisson-50/200, Créativité/Originalité-40/200,Harmonie gustative-30/200, Garniture no1-25/200, Garniture no2-25/200, Sauce au jus -10/200, Total 200で審査された。
1位の作品はセル・ダニョーを最高に美味しく食べさせてくれた素晴らしい料理だった。

いつも言っているが、コンクールの為だけの料理はあり得ない。
審査員をレストランに来たお客様と思い、お客様が満足できる料理を作るべく、日ごろの積み上げた力と技術の発表の機会だと思ってチャレンジした参加者が、グラン・プリに選ばれると常に感じている。
無駄なことはしないで、「主品」をより良くする必然性のある材料の使い方、調理の仕方を心がけてもらいたい。

COMMENTAIRE DU REPRESENTANT DU JAPON

鎌田 英基氏

今回のテタンジェ・ファイナルでは、料理の構想をある程度ハッキリさせて臨もうと思っていました。2週間前にmillefeuille de légumesとagneauである事が発表され、millefeuille de légumes は国内でのトレーニングで、ほぼ皿のイメージが完成し現地の食材でテストをする様な状況でした。agneauに関しては色々な部位が有るので、それぞれの部位に対する調理法を想定して臨みました。
渡仏してからは現地の食材や気候を確認しながらトレーニングをしました。
また今回はガブリエル・ビスカイシェフ(M.O.F.、1980年第14回本コンク-ル・インターナショナル優勝者)のご指導を頂けるよう、色々な方々に大変な御協力を頂く事が出来、充実したトレーニング期間となりました。
ビスカイシェフは初対面の私に対してでも惜しみなく料理や技術を指導してくださり、色々な状況に対しての対策などもシェフの方から提案してくれました。中でもシェフ自ら作り見せてくれた料理は、普段の仕事では見る事のできない物で、私にとってはまるで古典料理の本の1ページを見ているかの様で、まさに目からウロコでした。
コンクールに対しての感想としては、優勝した料理は美味しくプレゼンテーションに於いてちょっとした驚きがあったと伺いました。私の中でも審査員の方が喜ぶような美味しい料理が第一で、尚且つクラシックなベースがキチンとしている物を心掛けていました。
しかしそれは当たり前のことであり、私の料理にはプレゼンテーション力や全体の完成度が足りなかったのでは、と感じています。改めてコンクールの難しさと自分の精進の足りなさを痛感させられた結果になったと思います。
全体を通じて感じたことは、トレーニング先のスタッフ、ビスカイシェフなど皆が違う国の人間でもフランス料理を志す者には情熱と誇りを持って接してくれる、料理人は皆仲間だと言う心でした。フランス料理の伝統が守られ、発展、進化していく理由の一端を垣間見る事が出来、自分もその役割を果たして行かなければいけないと感じたコンクールでした。

第47回インターナショナル・ファイナル
第47回インターナショナル・ファイナル